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六本木「スイートベイジル」で、大人の夜を。
桑山哲也&佐々木秀実 ジョイントライブの様子 (2004.08.03)


2004年6月30日。
その夜。
六本木のスイートベイジルに、妖しく美しい歌姫と陽気で繊細なアコーディオン弾きが現われた。
歌姫の名は、佐々木秀実
アコーディオン弾きは、桑山哲也

能楽の謡を学び、三味線を学び、シャンソンを学んだ佐々木秀実。
かつて、能楽師・橋岡久馬をして、天才と言わしめた歌い手。

ベルギー配列のボタンアコーディオン弾きの第一人者である桑山哲也。
切ない音を軽やかに奏で、聴く者の心を揺さぶる奏者。

二人の舞台は、贅沢な3部構成だった。

佐々木秀実
▲妖艶なるシャンソン歌手、佐々木秀実

1部 佐々木秀実、登場。

黒いドレスに黒い羽のストールをまとった佐々木秀実が、唐突に現われた。一瞬にして、その姿に観客の目が惹きつけられた。その身体から放たれる歌声、その姿。会場は、ジャズバーの様相を呈した。

しかし、佐々木秀実の音楽の幅の広さは、美しいジャズシンガーのような雰囲気を自ら破壊し、聴衆を煙に巻く。
驚くべきことに、三味線を手に、『日和下駄』を弾き、歌ったのである。その違和感は、観客を圧倒し、強い意外性を与えるものだった。

佐々木秀実
▲三味線を弾き、謡う。その意外な展開に観客は気持ちよく翻弄されていく。

2部 桑山哲也、登場。

佐々木秀実と入れ替わるように登場した桑山哲也。彼の気さくな語りは笑いを誘い、切ない音楽が会場を満たした。観客の中には、桑山のファンも大勢いたようで、酒を飲みながら音楽に身を委ねていた。

3部 佐々木秀実と桑山哲也のセッション。

再び、佐々木秀実がステージに現われ、桑山哲也との会話で観客を笑わせる。
二人はプライベートでも友人関係にあり、その気の置けない様子に、観客もフレンドリーな雰囲気に包まれた。

そして、曲目は、シャンソン中心のものとなる。男と女の、せつない恋の歌。よくある話のような、それでいて自分では体験していない、それでも似た想いは抱いたことがある、そんな歌の数々に心が動かされる。
それは、佐々木秀実の歌声と桑山哲也の音楽が、素直に心に響いてきたためだろうか。

観客たちの大きな拍手が、二人を包んだ。アンコールを終えてなお、その拍手は続いた。

佐々木秀実
▲佐々木秀実と桑山哲也が奏でる哀しく切ない曲の数々。

【1部】佐々木秀実
私のすべて
港町
ミュージシャン
日和下駄(三味線を弾きながら)
告別式
お気に入り
私は私よ

【2部】桑山哲也
ワルツ・ドゥ・プランタン
フラジャイル
ロンド
チェルシー公園にて
雨上がり

【3部】桑山哲也&佐々木秀実
サンジャンの恋人
ジュ・トゥ・ヴ(佐々木秀実が好きな曲)
残された恋には
姫(阿久悠作詞、佐々木秀実オリジナル)
夕映え(桑山哲也の曲を佐々木秀実が歌う)
オヴリヴィオン(桑山哲也のアコーディオンで、佐々木秀実が詩の朗読を)
群集(エディットピアフの原曲に近い、ペルーバージョンで)

【アンコール】
アコーディオン弾き

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