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茨城県結城市で新作能の公演
新作能 一石仙人<アインシュタイン> 多田 富雄 作
(2004.03.25)
2003年11月23日。日曜日。茨城県結城(ゆうき)市、結城市民文化センター「アクロス 大ホール」にて、新作能『一石仙人(いっせきせんにん)<アインシュタイン>』の公演が実現しました。企画は「NPO法人 せんす」です。
ドイツ語で「アイン」は「1」、「シュタイン」は「石」を意味します。ゆえに、「アインシュタイン」は「一石」となります。
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■企画意図
多田富雄先生のご出身地で、結城市初の能楽公演であった為、結城らしさを全面に出し、なおかつ他ではまねの出来ない「結城紬能(ゆうきつむぎのう)」として企画しました。そのタイトルどおり、関係者は高価な結城紬を身にまとい、その上ロビー全体も結城紬一色のディスプレイをし、能楽との華やかなコラボレーション空間をつくりあげました。すでにユネスコ世界無形文化遺産の第1号に指定されている能楽が、将来の世界遺産に結城紬が指定される事への協力として、実現させました。全国および海外での能楽公演の多くが、ホール型劇場で行われます。この新作能『一石仙人』は、そうしたホール型劇場対応を見据えて作られました。横浜能楽堂での初演、東京での2公演に続く、今回の結城市公演は、初の大ホールでの公演となり、その点でも話題となりました。(NPO法人せんす 会長 橋岡佐喜男)
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左のチラシには、『一石仙人<アインシュタイン>』の解説が載っています。
所は異郷の砂漠、旅をする女の一行は、日蝕のにわかの闇の中で、怪しい羊飼いの老人に呼び止められる。老人は日蝕のときだけ観測される光の歪みを見せつけ、この世には不思議な物理現象があることを告げる。日蝕が晴れた砂漠に砂嵐を巻き起こして、老人の姿は消えうせる。(中略)一石仙人が橋掛かりに現れる。白髪を降りたて、強い表情の面をかぶり、星降る銀河の流れを引いて、宇宙の神秘を物語る。さらにそこに生きる人間の、物理法則からは逃れられ得ない摂理を語る。そこには核の力を知った人間は、戦いや争いにそれを使ってはならないという平和のメッセージも含まれる。(後略)解説 多田 富雄原作者 多田 富雄 プロフィール結城市出身。結城名誉市民。文化功労者。結城第二高校卒。千葉大学卒。医学博士。千葉大教授、東大教授、京大教授、東京理科大学生命科学研究所長などを歴任。現在東大名誉教授。医学のみならず能にも造詣不覚、新作能『無明の井』、『望恨歌』は、日本国内だけでなく海外でも公演を重ねている。著書に『免疫の意味論』(大仏次郎賞)、『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)、『能の中の能舞台』、『邂逅』など多数。
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