頬の肉が落ち、あごにしわが入り、目元が窪み、全体的に彫りが深くなっています。
この面を用いるときには、装束(しょうぞく=衣装)も、茶、紺、萌黄(もえぎ)色など、落ち着いた色彩の ものとなります。
中年女は、狂女物(きょうじょもの)の主役となることが多いようです。
これは、子を失った母親の心乱れる演目が数多く作られたことによります。
能楽の成立した時代には、そうした母子の悲しみが多かったのでしょう。