トップ

>能について

能を観に行こう

能の歴史

能の演目・物語

能面・装束

能楽師

能楽堂・公演スケジュール

能を体験したい習いたい

イベント・薪能 

本・テレビ・動画サイト

関連サイト

団体・協会

バックナンバー

問い合わせ

唐突に始まって終わる観能フローチャート
能の舞台の展開 TEXT:新城 健一 2004.10.13

■能の舞台の進行パターン

能の演目を観るときのフロー
観能のチャートフロー図です。左から右へ進みます。

大まかに言うと、上記のフローチャートにある6色の段階に分けられます。それぞれの色は、次のような状態を意味しています。

 始まりの合図
 入場
 物語のはじまり〜前半
 主役の着替えと物語の整理
 後半〜クライマックス&エンディング
 退場

これらを細かく見ていくと、次のようなことが言えます。

お調べ

開演直前に、舞台上には誰も登場しない状態で、幕の向こう側から、笛、小鼓、大鼓、太鼓の音が聞こえてきます。
国立能楽堂の場合、開始5分前のベルがなり、その後、このお調べとなります。開演直前の第2ベルのような合図にもなりますが、これは楽器の最終調整をしているのです。

囃子方や地謡の登場

楽器担当である囃子方が、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順で登場します。囃子方は、揚幕の(舞台から見て)右側を少しだけ開けたところから、橋掛かりを通って登場します。
囃子方が舞台に着くと、切戸口から地謡が登場します。
作り物がある場合は、地謡の後に、揚幕が上がり、舞台上に運び込まれます。
通常の演劇などの舞台では、ここまで済んでから舞台の幕が上がりますが、能では、こうした準備自体が観客の目の前で展開します。

このの段階では、誰も言葉を発することなく、淡々と登場し、それぞれの配置に腰をおろしていきます。

ワキの登場

諸国を歩く僧侶などが登場し、自分が何者で、ここがどこなのか、を語ります。
このワキのセリフによって、物語が動き始めます。演目によっては、その土地にまつわる因縁話を語る場合もあります。ワキは、観客の代表とも言われる役回りです。
状況の説明をしたり、他の登場人物に状況を問い掛けたりします。
ワキの存在によって、物語が進行すると言えるほど重要な役回りです。が、演目によっては、この後、舞台が終わるまで、ずっと動かずに座りつづけている場合もあります。

前シテの登場

ワキの登場の後、能面を着けた人物が登場します。これが、シテ(主役)です。物語の中心となる者であり、かつての因縁話や、土地にまつわる物語、また物語のキーワードなどを語ります。
この後、シテは一旦退くため、舞台は前半と後半に分かれます。そこで、能では、前半のシテを、「前シテ」と呼びます。

中入

前シテが、一旦、舞台から退き、後シテとなる準備を整えます。この間に、アイ(狂言方)が登場し、これまでのあらすじを語り、観客の理解を促し、物語を後半につなげます。
この中入の前(の段階)を「前場(まえば)」、中入の後(の段階)を「後場(のちば)」と言います。アイは、シテがいない間の、前場と後場の「場をつなぐ」役目と言えるでしょう。
演目によっては、中入がない場合もあります。その場合、舞台の上で、装束を取り替えることになります。
能を初めて観られた方は、「なんで、観客の前で着替えるの?」と、驚かれることでしょう。

後シテの登場

過去の因縁を背負った亡霊などが登場し、想いを語ります。実は、前シテこそ、この亡霊の化身であった、という場合が多く、正体を現わした亡霊の舞と共に、物語はクライマックスを迎えます。
演目によっては、前シテと後シテが、全くの別人という場合もあります。

後シテの退場

クライマックスの舞を終えた後シテが、舞台から退場します。演目によっては、まだ地謡が謡を続けている間に、退場してしまうこともあります。この場合、拍手もできません。
また、拍手については、するかしないかで意見が分かれています。いずれにせよ、自分の気持ちに素直に反応すればよいのではないでしょうか。

ワキ方の退場

シテが退場した後、ワキの退場となります。
能楽師に聞いた話では、相当に足がしびれているそうです。しびれないような工夫にも限界があり、しびれたままでも美しく歩くためのコツを習得しているそうです。
作り物が能舞台の上にある場合は、ワキの退場後に運び出されます。たまに、作り物の退場時にも拍手が起こることがあり、面白いです。

囃子方や地謡の退場

ワキ方および作り物の退場が済んでから、地謡が切戸口から退場し、続いて、太鼓、大鼓、小鼓、笛の順に退場します。囃子方は、登場したときと同様に、橋掛かりを通って、幕の右側から退場します。
すべての能楽師が舞台上から退場を終えると、終了となります。カーテンコールのような挨拶はありません。

▼関連情報は初めての観能マニュアルにあります。
初めての観能マニュアル

▼前回の更新記事はこちら
能楽用語集

Copyright(c) 2004 NPO Sense All rights reserved.